第25回東京国際映画祭
コンペティション部門作品
韓国映画『未熟な犯罪者』
審査員特別賞 受賞
主演ソ・ヨンジュ 最優秀男優賞 受賞
26日午後、第25回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品、韓国映画『未熟な犯罪者』の記者会見が行われ、カン・イグァン監督(脚本/エクゼクティブ・プロデューサー)、主演のソ・ヨンジュとイ・ジョンヒョンが参加した。
『未熟な犯罪者』は、保護観察中の16 歳の少年ジグ(ソ・ヨンジュ)が祖父を失い、天涯孤独の身となろうとしたとき、死んだはずの母親ヒョスン(イ・ジョンヒョン)が現れる。彼女は17 歳のときに彼を産み、逃げたのだった…。共に「犯罪少年」(本作の原題)だった未熟すぎる母親と大人になれない少年のせつない関係を繊細につづった親子の物語だ。
Q:この美しい物語を書いたきっかけを教えてください。
監督:韓国に国家人権委員会というところがあるんですが、去年そこからの依頼で、
脱北者の青少年に関する短い短編を撮りました。それを撮った後もう一度、
国家人権委員会のほうからより多くの人に見てもらうため、長編で撮ってみないかという提案をいただきました。
Q:ストーリーのエンディングを変えたそうですが、なぜですか?
監督:実は、最初に考えていたエンディングは異なるものでした。ジグと母親、そしてジグのガールフレンドのセロンは、それぞれ犯罪を犯した経験がある若者たちであり、弱いものが弱いものを助け合ったり、家族を成していくというものでした。なのでジグが少年院から出てきたところで彼らが会う、という構成ですでに撮影も行っていました。しかし撮影中や編集をしている時、なにがか作品的すぎると感じました。最も大切なことは、最初は寂しい思いをしていたジグが母親と会い、そして再び離れ離れになってしまったが、最後は母親が自ら子供に会いに行く意思をもった、希望をもったエンディングが良いのではと思い、撮りなおすことにしました。
Q:監督は、ラストの後にこの2人はどうなると思うか、俳優のおふたりと話をしましたか?
監督:この映画を撮影するとき、脚本を完成させて撮ったわけではありませんでした。撮影しながら、直したり手を加えたりしながら進めていきました。なのでその都度、この状況にはどんな台詞が合うか、この状況ならふたりはどうするだろう、と演じる彼らと話し合いながらつくっていきました。最後のシーンに関してもそのようにつくりました。
イ・ジョンヒョンさんにどうなると思うか質問した際、「2人は苦労してきたから、今後は母と子で一緒に暮らしていくのではないか」と言っていました。ヨンジュくんのほうも、「母親と一緒に暮らすのではないか」と言っていました。
Q:また、俳優のおふたりはどうなると思いますか?
ソ・ヨンジュ: 僕が考えたエンディングですが、少年院に入っている間、母親はしょっちゅう面会に来てくれたのではないかと思います。そして少年院を出るときは、母親が誰かに借りた車ではなく自分の新しい車で迎えに来てくれ、家も用意してくれているのではないかと思います。
イ・ジョンヒョン: ヨンジュくんのエンディングもいいと思いますし、実際の映画のエンディングも好きです。いずれにしても今後あの2人は希望をもって、一生懸命頑張って生きていったと思いますし、今後ジグも犯罪を犯すことはないと思います。
Q:母親になった経験はないと思いますが、母親役はどんな想いで演じましたか?
イ・ジョンヒョン: 母親のヒョスンも元々は家出をしたり、素行に走っていた若者でしたので、気性が荒いところがあると考え監督ともそう話し合いました。そんな彼女が母親となったことで、凛々しくたくましく希望を持って生きていく姿を表現していこうと思っていました。辛いことがあっても泣き言を言わず、子供の為に笑顔を見せるたくましい女性を演じようと思っていました。ただ彼女が極端に悪い状況に追い込まれると、元々の彼女の内面が現れてしまい、未婚のまま母親になったこと、学校に通えなかったこと、盗みをしたことや少年院に入ったことなど、彼女の悔しい思いや社会に捨てられたという思いが出てしまう、激しい部分も持つ女性だと考えていました。
Q:一番難しかったシーンは?
イ・ジョンヒョン:床を転がりながら叫ぶシーンです。友達の家から出ていけと言われる場面なのですが、ヒョスン自身が自分が置かれている辛い状況を改めて認識して感情を爆発させるというシーンでした。そのテイクは1回ですみましたが、その感情をつくるのが本当に大変でした。時間がなくリハーサルができなかったので、その気持ちをつくっていく5分間、10分間は何ヶ月もの時間にに感じました。
Q:ジグが家庭裁判所で判決を受けるときに、「罪を軽くしてくださいよ~」と面白い顔をして訴えますが、その時の表情のつくりかたは自分で考えたものか、それとも監督の指示ですか?
ソ・ヨンジュ: 最初に僕がしたあのシーンの演技はとても重かったんです。すると監督が重すぎるのでもっと軽めにしてみようと言いました。もう1回、もう1回と何度も撮り直しました。ただ何度も撮り直す機会をいただけたので、いいシーンが撮れたのだと思います。
監督: こんな風に言ってくれましたが、彼は元々とてもいい演技をしてくれました。私は細かい表情までは指示しませんが、その代わり、役者たちとは事前にたくさんの話し合いをします。撮影が始まれば役者に自由に演じてもらいます。ただ何度も撮るタイプです。あのシーンは本物の裁判所で撮ったのですが、恐らく彼もその場に実際に身を置いたことにより、彼自身の考えで演じてくれたのだと思います。







